「そろそろ自分なりにおしゃれを楽しんでみたい」そう思い始めた時、どのようにしておしゃれを磨けばいいのでしょうか。ファッションを磨くのに、年齢なんて関係ありませんし、遅いも早いもありません。しっかり計画を立てて、プロセスを踏んでいけば、今からでもおしゃれになることは十分に可能です。
では具体的に、どんなプロセスを踏んでいけばいいのかについて今回はまとめてみました。
①覚悟を決める
まずは精神論から。ファッションを変えるというのは、これまでの習慣を変えるということです。これはそんなに簡単なことではありません。あなたが今着ている服というのは、これまでの様々な経験の中から選ばれたものです。それを新しい習慣に入れ替えるのは、最初のうちは「違和感でしかない」はずです。
それを受けれられるか。新しい自分に変わる覚悟が持てるのか。ここが実は一番大切です。新しい習慣を取り入れるというのは、最初のうちは実に居心地の悪いものですが、そのうち必ず馴染んできます。このプロセスを最初からある程度理解しておくと、実は結構スムーズに変わることができます。
よくこのブログでも書いていますが、「新しいものをおもしろがる気持ち」が一番大切です。ファッションのテクニックだったり、知識だったり、そういうものは後からどうにでもなります。この覚悟が決まっていないと、途中で心が折れてしまうので、精神論は結構一番大切だと思っています。
②捨てる
続いてのプロセスは「捨てる」です。これまでの服選びの習慣を大きく変えるには、まずは持っている服を大幅に減らすことが一番の近道です。いきなり服を買いに行くというのは正しいプロセスではありません。
既にたくさんの服を持っているのに、新しい服を1〜2着増やしたとことで、結局は大した違いはありません。結局はいつもと大して代わり映えのしない服装になってしまいます。まずはとことん全体量を減らしましょう。足りないと感じるくらいでむしろ丁度いいです。不足したとことに、丁寧に1着ずつ服を増やすと、それは大きなインパクトになります。
とにかく服を捨てないと変わりません。これは本当にそうで、①と②は僕がもっとも重視しているところでもあります。ここは覚悟を持って、楽しみながらやっていくことが大切です。いわゆる「断捨離」とか「ミニマリスト」のような考え方といも近い部分があります。あまり量を持たないことで、自分のファッションをシンプルに考えることができるようになります。
パンパンのクローゼットの中から毎朝服を選ぶのは結構メンドクサイことです。パンパンのクローゼットの中でも「よく着る服」は限られているはずです。ほとんど着ない服がクローゼットを占拠しているのが一般的です。まずはこれらを思い切って手放す。「よく着る服」だけを残す。これがおしゃれになるための2つ目のステップです。
③情報を摂取する
おしゃれになるためには、様々なアプローチ方法があります。もっとも一般的なのは、とにかくたくさんの服を買ってみて、失敗を重ねながら少しずつセンスを育てていく方法です。僕はまさにこの方法でおしゃれとは何かということを学んできました。
でもこれは非常に時間が掛かるのと、お金もまたたくさんかかります。数十年間、時間とお金を投資してきた僕が言うのだから間違いはありません(笑) 僕がファッションに興味を持ち始めたのは10代前半でしたので、時間を掛けるという方法も【好きであれば】全然問題ないと思います。
ただ、みなさんがこれからおしゃれを磨くためには、あまりに効率の悪い方法です。もっと短期間に結果を出せる方法を考えるべきです。正しい情報を効率的に摂取して、最短でファッションを磨くことをお薦めします。
④店員さんに聞く(0円)
まずは最も身近なプロである「店員さんに聞く」という方法があります。みなさんの中には、ショップ店員さんを「服を売りつけてくる敵」と思っている方も少なくないかと思います。それは間違いです。確かに買い物をするお店を間違えれば、すごく押しの強い接客で売ろうとしてくる店員さんもいます。でも優れたショップであれば、店員さんはあなたにとって良いアドバイザーになってくれるはずです。
みなさんにぜひ訪れてみてほしいのが「セレクトショップ」です。これらのショップは店員さんの押しはあまり強くなく、知識も豊富ですし、そのセンスにも一定の信頼が持てます。たとえばユナイテッドアローズグリーンレーベル、エディフィス、シップス、ビームス、UNITED ARROWS、トゥモローランドなど、これらのショップで店員さんに色々と聞いてみると良いでしょう。
僕もいまだにこの方法をよく使っています。「このトップスにはどんなボトムスが合いますか?」 「オーソドックスな紺ジャケットを探しているのですがお薦めはありますか?」こんな具合にこちらから尋ねてみる。質問すれば、店員さんは優秀なスタイリストとして機能してくれるはずです。
自分であれこれ試行錯誤するよりも、身近なプロの意見を借りながらショートカットをするというのも良い方法だと思います。
⑤ファッション指南本を読む(1500円程度)
店員さんに聞くのはどうも気が引ける・・・という方には、書籍を使ってファッションの基本を身に着ける方法をお薦めします。ちなみにもっとも身近なファッション雑誌では「流行」を取り上げることが多く、紹介されている商品も通好みの値段の高いものが多いです。そのため、ファッション初心者におすすめできる教材的な側面は薄いです。
もっとファッションの基本が身についてからファッション雑誌は楽しむのが良いでしょう。それよりもファッションの基本的な要素が語られているのが、近年のトレンドである「ファッション指南本」というジャンルです。元々女性からこのブームが始まったのですが、メンズ向けのファッション知識を学べる本も何冊か存在します。
女性の場合、今は戦国時代で本当にたくさんの著者さんが生まれています。一方で男性版はというと、著者さんがある程度限られています。代表的な方を挙げますと、まずは落合正勝さん。この分野のさきがけ的な存在で、スーツスタイルを学ぶのであれば現在も尚、もっとも役に立つ本を書かれています。本格的にファッションを学びたいという方にはお薦めです。
ここ数年、メンズファッションの基本を説いてくれる最高峰といえば森岡弘さんが挙げられます。ファッションディレクターとして活躍されている方で、僕も直接の面識はありませんが、時々街ですれ違います。ものすごくダンディで素敵な方です。30代後半〜50代までの男性で、ファッションにそこそこ投資ができる方にお薦めです。
そして同じく、大人の男性に向けた本の著者といえば、銀座松屋の宮崎俊一さんの著書も素晴らしいです。膨大な知識と経験に裏打ちされた著書は、非常によくまとまっています。長く愛される一冊を残されていますね。
そしてこのメンズファッション指南本に彗星のごとく現れたのがMBさん。これはもう衝撃的でした。ファッションを理屈で分かりやすく伝える力は最も優れているんじゃないかなと思います。森岡さんや宮崎さんとは対象読者の方がちょっと異なり、10代〜30代の方にがっちりハマるような本が多いかなと思います。
そして最後は僕、大山シュンです。これまでに4冊出版させていただきましたが、僕が想定している読者層は30代〜50代までの男性です。森岡さんや宮崎さんが提唱されるスタイルよりはもう少しリーズナブルな価格の服が多いです。MBさんよりも少し対象年齢層が高くなります。「おしゃれが苦手な大人の男性」に向けて、はじめの一歩となるような本を書いています。
このようにファッション指南本にも様々な著者さんがいて、それぞれ特色が違いますので、ぜひ本屋さんで実際に手に取り、ご自身のしっくり来るものを軸足に、ファッションの基本を学んでみることをお薦めします。通な人は著者を縦断して読んでいます。それぞれの主張の違いを比べながら情報を摂取するのもなかなか面白いと思います。
いずれにせよ、著者の方がこれまで積み重ねてきた知識や体験をベースに、ギュッと凝縮した内容を1冊にしていますので、これらを読んで情報摂取するのはものすごく効率の良いことだと思います。ぜひ参考にしてみてください。
⑥試着をしまくる
覚悟を決めて、服を捨てて、正しい知識を摂取したら、次は実践です。まずはお店に出向いて、とことん試着をしてみてください。ファッションが苦手な人は、圧倒的に服に関する経験が足りていません。この服を着たらどんな風な見え方になるのだろうというのが、ほとんどイメージできないはずです。
最初のうちは、新しい服は見慣れないものです。だからこそ、とにかく試着をして、目や感覚を慣らしてみてください。これは非常に大切です。試着の回数が増えれば増えるほど、感覚が磨かれていきますし、自分の長所も短所も見えてくるようになります。
そして「試着をしても買わない」ということに、いち早く慣れてください。僕の感覚だと、試着しても買わない服の方が圧倒的に多く、5回試着して1回買うくらいで十分です。10回に1回くらいでもOKです。とにかく様々な服に袖を通してみてください。
僕も未だにそうです。「これ、着たらどんな風に見えるのかな」と思ったらもう試着へGOです(笑) 買うかどうかは別として、好奇心を持って、新しい服に袖を通してみてください。この習慣があれば、いくつになっても新しいファッションを柔軟に受け入れることができます。
⑦とことん吟味して買う
ここまで来て、ようやく「買う」です。長かったですね〜(笑) 買い方にもポイントがあります。僕たちには「予算」というものがあります。服に際限なくお金を掛けられるわけではありませんので、限られた予算をどのように使うのかがポイントです。
たとえばメンズファッションにおけるベースアイテムの1つである、白のボタンダウンシャツ。これにも様々な価格帯があります。ユニクロでは2000円、トム・ブラウンだったら4万円を越えてきます。セレクトショップのオリジナルですと1.2万円前後が相場になります。ではどのようにお金を使うべきかというと、僕は「まずは全身のアイテムを買い換えよう」とお伝えしています。
シャツ1枚だけを頑張ってよいものを買っても、その他のアイテムがイマイチだと残念ながら素敵なファッションには見えません。なぜなら、シンプルな白シャツであれば、それが2000円か4万円か、ほとんどの人は気づかないわけです。残念ながら、白シャツは白シャツなんです。まずはそこまでの強いこだわりを持つのではなく、全身まんべんなく買い換えることが大切です。
4万円のシャツを買うなら、4万円で全身アイテムを買い替えた方が、パッと見ではおしゃれに見えます。1点ずつの単価を上げるのは、ベースがある程度揃ってからでも遅くはありません。まずはユニクロのアイテムでもいいから、新しい服に買い換える。ここからスタートしてみてください。
基本は「ユニクロ+セレクトショップのアイテム」で十分です。ジーンズや白シャツなどはユニクロでも素敵に見えます。一方でアウターにはちょっと背伸びをしてセレクトショップのものを取り入れてみるとか、それくらいの感覚で良いでしょう。一点豪華主義よりも、まんべんなんく全身をおしゃれにすることを忘れずに。
⑧定期的にファッションを見直す
そしてファッションの見直しは定期的に行いましょう。どんなにベーシックな服を買っても、数年経てば流行は確実に変わります。何年も着続けると、必ず古臭く見えてくるものです。定期的なファッションの見直しが重要です。「3年」をひとつの目安にしてみてください。3年経ったら、服の入れ替えを検討する。このサイクルを忘れなければ、ファッションが古臭くなることはありません。
まとめ
以上が、35歳オーバーの男性がこれからおしゃれになるためのプロセスです。一歩ずつ丁寧に進めば、おしゃれになることはそんなに難しくありません。一番重要なのは「覚悟を決めて、捨てる」 これさえできれば、あとはスムーズに進みます。
ファッションが変わると、周囲からの反応は変わり始めます。おしゃれですねとか、ファッション業界の人ですかとか、今まで決して言われなかったポジティブな反応が返ってくるようになります。これは結構、日々の生活を激変させるものです。シンプルに毎日が少しだけ楽しくなるはずです。
ファッションを楽しむ毎日をぜひみなさんにも実感していただけたら嬉しいです。陰ながら応援しています!
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スタイリスト。メンズファッション研究家。株式会社SO styling代表取締役。2019年にスタートしたYoutubeチャンネルは登録者5万人を突破。日本最大級のファッション学習サイト「メンズファッションスクール」を主宰。おしゃれが苦手な大人の男性に「おしゃれの方程式」を分かりやすく伝えている。これまでにファッション関連の書籍を7冊発売。累計12万部突破。NHK「おはよう日本」フジテレビ「めざましテレビ」読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞他、様々なメディアにも出演。趣味は旅とランニング。プライベートでは男の子と女の子、二児の父。
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