みなさん、こんにちは
メンズファッション研究家の大山シュンです。
ところでみなさんは「人生で初めて買ったスーツ」のことを覚えていますか?
僕は大学の入学式で着た「タケオキクチ」のチェックのスーツが初めてでした。懐かしいですね。もう随分前の話ですが、あの頃は確かVの浅めの3つボタンスーツが多かったような気がします。
あれから僕は何着のスーツを買ったのでしょうか。今ではスーツを着る機会はめっきり減りましたが、それでも1年に1着はスーツを買うようにしています。
メンズファッションにおいて、スーツほど体型補正効果があり、僕たちを素敵に見せてくれるものはそんなにないものだよな〜と僕は感じています。女性もスーツ姿の男性が好き、という人が多いですよね。
昨今、クールビズの影響でどんどんスーツスタイルがカジュアル化しています。だからこそ正統派のスーツスタイルが余計に素敵に感じられてしまう今日このごろです。
今回はスーツに関するご質問です。早速見ていきましょう!
ご質問内容
スーツ購入時、オーダー若しくは、既製品からの補正等どちらの方がよろしいでしょうか。
士業の仕事のため、基本的には経営者の方とお会いしているため、生地等はある程度良いものが良いと考えております。
小柄で、上半身に比べ下半身の方ががっちりしているため、スーツ・シャツともにオーダーしています。
ただし、サイズ感は気にしますが、裏地やボタン等はあまりこだわりがないため、オーダーでなく、セレクトショップの補正といつも迷ってしまいますが、いかがでしょうか。
大山シュンの回答
これは素晴らしいご質問ですね。きっと多くの方が悩んでいるテーマの1つだと思います。
僕もご質問者の方と同じように、身長は低いけど(164センチ)、下半身の筋肉がガッチリしているタイプです。確かにサイズ選びは難しいですね。とことんサイズ感にこだわるのであれば、オーダーという選択肢が一番だと思います。
僕が社会人になりたての10数年前は、まだまだ細身のスーツは少なかったので、オーダーくらいしか選択肢がありませんでした。麻布テーラーに始まり、色々なショップでオーダーを経験しました。
様々なオーダーを経験した僕が今「愛用しているスーツ」はというと・・・ オーダーではなく、既成のスーツです。中でもビームスFで買うことが多いですね。ビームスのオリジナル、イタリアのタリアトーレを買うことが多いです。あとはエディフィスのオリジナルやトゥモローランドのオリジナルも持っています。
どれも「42」というサイズ表記で、これはXSサイズに相当します。かなり希少なサイズのため、なかなか目にすることはありません。気に入ったものが見つかったらなるべく奮発して買うようにしています。
なぜ僕がオーダースーツではなく、既成のスーツを買うようになったのかというと、そこにはいくつかの理由があります。
オーダーは仕上がりが想像しにくい
まず1つ目が、オーダーだとなかなか仕上がりが想像できないという点にあります。小さな生地見本を見て仕上がり像をイメージするのは、何回作っても僕には難しいものでした。
シンプルなネイビー無地だったり、ストライプだったり、オーソドックスなものであればそんなに外さないことはないです。でもちょっと攻めたものを作ろうとなると、使ったはいいけど結局ほとんど着なかったということも多かったんですね。
これはオーダーならではの悩みですね。仕上がりがなかなかイメージができないというのは。その点、既成品は試着できるので、ちょっと攻めた生地感でもイメージが掴みやすい。だから大きな失敗は避けられると思います。
サイズの選択肢が増えたこと
そしてもう1つの理由は、サイズの選択肢が増えたことにあります。10数年前は細身のスーツは少なかったのですが、最近では本気で探せば自分の身体に合ったスーツは比較的見つかりやすくなりました。僕も以前はなかば諦めていましたが、最近では自分の身体に合う既成のスーツをいくつか見つけることができるようになりました。
もちろんそれでも完璧ではないので、袖丈の調整、身幅の調整、場合によってはパンツのシルエットの調整を行うようにしています。お直しは必須です。それでも十分に対応ができます。
僕はスタイリストとして年間数十名のスーツのコーディネートを行いますが、「絶対にオーダーじゃなきゃムリ」という人は実はそんなに多くはないです。全体の1割くらいかなと思うんですよね。
大体は既成のスーツをベースとして、お直しすることで対応が出来てしまいます。僕自身もその中の1人でした。
デザインの選択肢が狭い
そしてもう1つ。オーダースーツといっても、麻布テーラーやディファレンス、ユニバーサルランゲージのオーダーは「パターンオーダー」です。つまりデザインはそんなに選べないのですね。2〜3パターンの大枠のデザインの選択肢があって、その中からしか選択はできないんです。
それでほとんどの場合は十分なのですけどね。かえって選択肢は狭いくらいの方がラクではあります。
僕は肩の雰囲気やウエストのシェイプ位置など、ブランド・ショップごとの小さなデザインの違いが結構気になるタイプです。だからデザインは選びたい。そうなると、既成品の方が選択肢が広いので、僕のような小さな違いにこだわる人間にはかえって既成品の方が向いているかもしれません。
素材の質感の違い
更に外せないのは素材の質感の違いですね。これはご質問者さんも気にされていた通りです。たとえば既成品もオーダーも両方取り扱っているユニバーサルランゲージを例に挙げると、同じ5万円のスーツだと間違いなく前者の方がグレードの高い生地になっています。
それは当然ですよね。オーダーの方が手間が掛かります。そして既成品の方が大量に生地を買い付けるので、それだけコストが下げられます。ユニバーサルランゲージの既成スーツはかなりコスパが良くて、5〜7万円の価格帯でも結構有名な生地ブランドを使っていることも多いです。
まったく同じ価格帯だったら、既成品の生地の方がグレードが高いことが多いですね。
ただ、素材が良いスーツ=素敵なスーツなのかというとそんなことはありません。素材よりもまずはシルエットの方に人の視線が向かいます。
素材の良し悪しに気づく人は少数ですが、スーツが身体に合っているかどうかは、意外とふつうの人も気づくポイントかもしれません。
もし体型に難があって、なかなか既成のスーツではサイズがしっくりこないのであれば、生地のクオリティよりもオーダーでサイズ感を整えることを優先すべきだと思います。
まとめると・・・
①大半は既成品をお直しすればサイズ感の問題は解決できる
②デザインの選択肢は既成品の方が多い
③素材のグレードは既成品の方がいい
この3つの理由から、僕個人としては既成品を優先することが多いです。そしてお客さまのスタイリングの際にも同じように考えています。
体型に難がある場合を除けば、僕は既成品の方がやっぱり便利だな〜と思っています。オーダーの方が既成の物よりも良いものだというのは1つの幻想なのかもしれませんね。
でもオーダーにはオーダーの魅力があるのも理解しています。
実際、僕もシャツはオーダーしたものしか着ません。既成のものをどんなに頑張って調整するよりも、オーダーした方が身幅も着丈もピッタリのものが仕上がります。シャツは絶対オーダーした方が満足度は高いです。
そしてオーダースーツの「自分だけの1着」という特別感は気持ちを高揚させてくれます。これはものすごく大切なことだと思っています。着ていて気分がいいと、それは見た目にも大きな差になって現れます。
その点、オーダーは最良の策だとは思います。だから僕は誰だって一度はオーダーを体験してみるべきだと思うんです。その上で、冷静に「自分にとってどちらがしっくりくるのか」を改めて検討してみるのが良いのだと思っています。
いかがでしたでしょうか? 良かったら参考にしてみてください。
それではみなさん、今日も素敵なファッションをお楽しみください!
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