みなさん、こんにちは!
ファッションスタイリストの大山シュンです。
「独立して仕事するのって大変じゃない?」先日、久々に会った友人に聞かれました。
たしかに僕のような自営業のイメージといえば、「大変そう」「忙しそう」「生活が安定しなそう」このようなネガティブな物が多いようです。
あながち間違っていませんが(笑)でも現実はというと、僕はけっこう自由ですし、忙しそうに見えるようですが、家族との時間もしっかり取れています。
コネ無し、経験なし、実力無し。
このような状況からいきなり独立をしてしまった僕が、いかにして8年目を迎えることができたのか。今回は書いてみたいと思います。
ただのファッション好きのお兄ちゃん?
独立までの道のりは前回のブログを良かったら読んでみてください。
僕は会社員を辞めてバックパッカーになりました。そして旅をしている途中に、「会社員よりも自営業の方が向いているかもしれない」という大きな勘違いをしました。そう、大きな勘違いです。
海外から帰国後、意気揚々と僕は独立をしました。縁もゆかりもない「スタイリスト」という仕事です。
当時の僕を一言で表現するとしたら、「ただのファッションがすごく好きなお兄ちゃん」でした。僕はファッションについて深く学んだことはありません。そしてアパレル業界での経験はたった1年半しかありません。
独立したといっても、当時の僕は、フリーターと表現した方が近いように思います。とりあえず、期限を決めました。1年間やってみて、生活ができるレベルにならなければ会社員に戻ろうと。
長い人生の中で1度くらいは「独立しました!」と言えるのも面白いかなと。それくらいの感覚でスタートしました。当時の僕の中で独立は「思い出作り」のような感覚があったのかもしれません。
どうやったらお客さんがきてくれるのだろう?
独立したといっても、当然ですが僕のことを知っている人なんて誰もいないわけですよね。だからお仕事の依頼なんて来るわけがないのです。僕は独立すれば、勝手に仕事が来るものだと思っていました(笑)
当時の僕は、とにかく時間だけはたくさんありました。そこでどうしたらお客さんが来るのだろうなぁということを、人生で初めて自分の頭を使って考えてみました。
「ひょっとしたらホームページがあった方がいいんじゃないか?」ふとそんなことを思いついて、(それすら知りませんでした・・・)インターネットでホームページ制作の費用について調べてみました。
そうしたらべらぼうに高いわけです。最低でも20万円は掛かるわけで。しかもデザインにこだわると簡単に100万円以上の見積もりになってしまうのです。
これはもう当時の僕には到底払うことができない金額でした。調べ始めて30分で断念。ホームページを作るのを諦めました。
途方に暮れて本屋さんを歩いていると、「ホームページは自分で作れる!」という本が置いてあるじゃないですか。さっそく購入して家に帰りました。
ちなみに当時の僕のPCスキルといえば、エクセルなんてまったく使えないレベルです。ワードすらも満足に使えない、根っからのPC音痴でした。
本を読むと、htmlだのcssだの、文系の僕には到底理解ができない横文字の内容ばかりで、一瞬で心が折れました。その本はその日のうちに捨てました。。。
もっと簡単にホームページって作れないのかなと、今度はインターネットで検索をしてみると、どうやらホームページを簡単に作ることができるソフトがあるということを知りました。
アドビという会社が出している「ドリームウィーバー」というソフト。これを使えれば格好いいサイトが自分で作れるよと書いてあるんですね。それは聞き捨てならないということで、早速購入して、色々といじくり回しました。
これが案外楽しくって、すっかりハマってしまいました。特にデザインが楽しいんですよね。ちなみにデザインはファイヤーワークスというソフトを使っていました。もちろん今も愛用しています。
ウェブデザインにはファッションとの共通点が多くて、自分には向いているような気がしました。
色合いやフォントを吟味して、全体のバランスを整えていく。これがとても楽しかったんですね。ファッションのコーディネートとよく似ています。
色々といじくりながら、感覚でホームページ作りを身に付けていきました。1ヶ月程掛けて、ようやくお手製のホームページが完成しました。
PC音痴の自分がまさか自分でホームページを作れるようになるとは。会社員時代には夢にも思いませんでした。
今振り返ると、その頃のホームページはあまりにポンコツです。それでも当時の僕は、「自分のホームページは世の中でトップ10%に入るくらい格好いい」と思っていました。この「勘違いする力」こそ僕の最大の強みなのだと思います。。。
試行錯誤の日々
ホームページさえ完成すればお客さんは殺到するだろう。当時の僕はそう思っていました。ところがですね、まったく変化がありませんでした。1ヶ月待っても、2ヶ月待ってもお客さんが来る気配はまったくありませんでした。
そこで色々と本を呼んでみると、ただホームページを作っただけでは、誰にも見てもらえないということが判明しました。
せっかく作ったホームページを見てもらうためには、グーグルやヤフーの検索で、上位に表示させる必要があるということを知りました。
確かに、「ファッションスタイリスト」と検索をしても、僕のホームページはまったくヒットしませんでした。
確かに検索をしても、せいぜい見るのは2ページくらいまでですよね。なるべく良い位置にホームページを表示させることが大切なんだなぁと、僕は1つ賢くなりました。
そこで今度はホームページを上位に表示させるための本をひたすら読みまして、さっそく実践しました。時間だけはたくさんありましたから(笑)思ったことはすぐにやりました。
すると2ヶ月ほど経つと、ファッションスタイリストと検索すると、僕のホームページが1ページ目に表示されるようになりました。
これで安泰。もう依頼が殺到するだろうと思ったのですが・・・現状は変わりません。独立して4ヶ月。未だにお客さまはゼロでした。
でも僕は割と楽観的な方なので、まったく問題にしていませんでした。「次は何をやろうかな〜」と作戦を練るのもまた楽しかったんですよね。
365日ブログを開始。
次にブログを始めることにしました。ブログを書けば多くの人に僕の存在を知ってもらえるチャンスだと思いました。
そこからはブログの勉強会に参加して、ひたすらその教えを守りながら、365日ブログを更新することに決めました。ネタはファッションのみ。ひたすらブログを書き続けました。
ファッションという感覚的なものを、言葉で表現するのはとても難しいことです。だからこそ上手に文章化できている人は少ないので、僕はどうにかファッションの基本を文章で伝えられるようになりたいなぁと思いました。そしてブログをひたすら書き続けました。
当時、僕が熱心に読んでいた勝間和代さんの本に、「誰だって本の1冊くらいは出版できます」ということが書いてありました。
そして本を出版するためにはブログで訓練するのがいいと。僕はこれを真に受けて、「いつか本を出すぞ!」と意気込みながらブログに向き合いました。
嬉しいことに、ブログを読んでくださる方は少しずつ増えました。ブログへのコメントも増え、応援してくれる人も増えてきました。
それでも正直に言って、この仕事では生活なんて到底できないレベルでした。ちなみに1年目の年収は忘れもしません。わずか38万円でした。寝ている時間以外はすべて仕事をしていたので、その頃の時給は一体いくらだったのでしょうか。
バックパッカーをしていた時に感じた「自分には自営業は向いている」というのは、とんだ勘違いだったのかもしれません。
何のプランもなく、行き当たりばったりで初めてしまった仕事を上手く軌道に載せるのは、当たり前ですが簡単なことではありませんでした。今考えると、あまりに無謀すぎて笑えません(苦笑)
気づけばあっという間に自分で決めていた1年の期限を過ぎていました。貯金は底を付き、引き際としては良いタイミングだったと思います。
でも僕はこの仕事を止められませんでした。四六時中仕事をしても、一向に良くなる気配がないのに、この仕事が楽しくって仕方なかったのですよね。
自分の力で道を切り開いていく感覚がとても居心地が良かったんです。昨日の自分よりも明らかに成長しているのを実感しながら生きるのは非常に刺激的でした。
だから止められなかったのですよね。そしてますます泥沼にはまりこんでいきました(笑)
スタイリストからの転身?
2年目も、毎日色々な新しい試みをしました。ツイッターを始めたり、フェイスブックを始めたり、メルマガを始めたり。異業種交流会に行って名刺を配りまくったり、もうありとあらゆる施策を次から次へと取り入れました。
どれか1つが大当たりして、一発逆転のホームランが打てるんじゃないかと。常に僕はそんな淡い期待を抱いていました。
でも現実はそんなに単純ではなく、色々なことをやっても、劇的に変化は起こりません。
お客さまは常に緩やかに増えていく感じでした。2年目もまだまだこの仕事だけでは生活はできません。どんどん貯金を切り崩していきます。そしてマイナス方向への貯金も少しずつ増えてきました。
そんなある日のころ、1件のおもしろいお問い合わせを頂きました。「大山さんのホームページって、すごくいいですよね。どこの会社に作ってもらっているんですか?」
馴染みのお客さまから僕のお手製ホームページを褒めていただきました。そして「自分で作っています!」と伝えると、「じゃうちのホームページも作ってよ」と、ホームページ制作の依頼をいただいたのです。
突拍子もない依頼でしたが、僕はとにかく暇でした(笑)喜んでホームページを作りました。
そこから気づけば、僕はホームページ制作をちょこちょこ請け負うようになったんです。自分でホームページは作れますから、「ホームページ制作会社」のサイトを新しく立ち上げて、そこにお客さまを集めるようにしました。
意外とこちらの仕事の方がニーズが多かったんですね。月に数件ご依頼をいただくようになりました。そして気づけば僕はウェブデザイナーになっていました。
また仕事の繋がりで、色々なカメラマンさんの知り合いもいましたので、彼らに変わって、写真撮影の仕事をインターネットで集客するようにもなりました。【カメラマン派遣業】ですね。これも気づけばそこそこ注文をいただけるようになりました。
ファッションスタイリストという仕事から、気づけば僕はホームページ制作やカメラマン派遣業まで請け負う、なんだかよく分からない存在になっていました。
でもこの仕事のお陰で、僕はなんとか食いつなぐことができました。このように僕は本当に計画性のない人間なのです。
ちなみにホームページ制作は今から3年前に辞めましたが、今でもうちのサイトは全部自分で作っています。ウェブデザインは僕の趣味の1つでもあります。
一発逆転願望
一方でファッションスタイリストとしてのお仕事は、本当にお客さまを集めるのが難しくて、苦戦を強いられていました。
そこで僕はメディアに出たら一発逆転できるんじゃないかと思い、色々な作戦を考えて、とある雑誌さんから取材をしていただくことが決まりました。
これでようやく軌道に乗るな!と思いました。ところがです、まったく現状は変わらないんですよね。
それどころか、知人の誰一人として僕が雑誌に載ったことに気づきませんでした。これは気落ちしましたね。。。雑誌に出てもダメなのかと。
そこで次の目標を「テレビ出演」にしました。テレビにさえ出れば、さすがに一発逆転ができるだろうと。
すると、2年目の終わりに、N◯Kさんから取材の依頼をいただきました。その頃の僕はというと、貯金はほぼゼロ。仕事もまだまだ本当に少ない状態です。そこで念願のテレビ出演。これで僕の人生はようやく変わり始めると思いました。
テレビに出ている人を見ると、なんだかすごそうに見えるものですが、案外内情は大変な人もいるのだなと思うんですよね。僕なんてまさにそうでした。
専門家としてイケてるふりをしながら、現状は日々の生活すらままならない状態でした。だから最近話題のコンサルタントの方の話も、どこか笑っていられない自分がいるんですよね。
詐称するのはダメですが、健全な背伸びは必要なのかもしれないなと僕は思っています。自分の姿とダブらせながら。
テレビ出演後の反応は今でも忘れられません。まさに「何も起こらなかった」んですよね。友人3人くらいに「テレビに出てなかった?」と聞かれたくらい。お客さんは一人も増えませんでした。
そこでようやく諦めが着きました。「一発逆転はないんだなぁ」って。
流石に気落ちしましたね。この仕事を軌道に載せるのは難しいかもしれないなと。そんなことに気づくまでに3年近くも掛かってしまいました。
コツコツ地道にやるしかない
ファッションスタイリストという仕事のみで生計を立てることがいかに難しいのかということを、僕は身を持って経験してきました。
一発逆転願望がなくなった僕は、地道にコツコツと、ブログを更新して、日々のスタイリングに真剣に向き合いました。
もちろん新しい試みはその後もたくさんしましたが、やっぱり大きな変化は起きないんですよね。でもそれは流石に慣れました。
特に大きな変化もないけれど、緩やかに成長していく。それはそれで充実した日々でした。
WEB制作やカメラマン派遣業でなんとか生活はギリギリ成り立っていました(?)ので、緩やかな成長ができればそれで十分だと考えるようになりました。
ところが4年目を迎えて、状況が突然変わり始めました。いきなりファッションスタイリストの仕事が軌道に乗り始めたんですね。
正直、何が理由なのかはまったく分かりません。ただ突然、ぐーんと業績が上がったのです。今までコツコツと積み重ねたものが、ようやく実を結んだのかもしれません。
僕は起業したての頃、石原明先生の「成功曲線を描こう」という本をずっと読んでいました。僕が仲良くさせてもらっているインタビュアーの早川洋平さんから頂いた本でした。
この本には、努力の量と比例して業績が上がるのではなく、しばらくの間はまったく結果が出ない時期が続くと書いてありました。
そしてある時を境に、ぐーんと業績が伸びる瞬間が来ると書いてあるんですよね。
「本当かな?」と思いながらも、僕は心のどこかにそのイメージを持っていたのだと思います。だからこそ4年近くの不遇な時代をなんとか乗り越えることができたのかなと思っています。
逆転ホームランなんてないんですよね。パッと見は逆転ホームランのように見えるかもしれませんが、地道な積み重ねがないと、鮮やかな曲線は描けないのかもしれません。
5年目からはWEB制作やカメラマン派遣業をきっぱりと止めて、ファッションスタイリスト一本で生活をしています。
今では起業当初に目標としていた「本の出版」も達成しました。自分が思い描いていた形に少しずつ近づいてきています。
それでもまだ30%くらいですかね。まだまだ実現したいことがたくさんあります。
自営業は大変な仕事なのか?
確かに自営業というのは、忙しいですし、お金の面でも安定しないのは確かです。でも「大変じゃないの?」という質問には、きっぱり「大変じゃなくて、楽しいです」と僕は答えることができます。
会社員時代は本当に仕事ができなくて、与えられた仕事をただこなすだけ。むしろ与えられた仕事さえも満足にこなせないポンコツ社員でした。
でも自営業になれば、自分の専門分野でサービスを提供するのはもちろんのこと、お客さまに自分という存在を知ってもらって、サービスを依頼してもらえるようになるまでのすべての過程を自ら考えなくてはいけないんですよね。
会社の看板や信頼なんてまるでない状態から、1から実績を積んでいかなきゃいけないわけです。誰も仕事を運んできてはくれませんし、誰も叱ってくれたりはしません。
だから独立して仕事をするのには向き不向きがあるのだと僕は思います。
僕は会社員も自営業もどっちの才能もないですが、自分で道を切り開いていく過程を楽しいと思える性格を持っていたようです。
そして大好きなファッションに四六時中向き合っていられる生活がとても気に入っています。だから365日仕事をしていたって、苦痛に思ったりなんてしなかったんですよね。
僕はこの7年間をただただ楽しませてもらいました。だから「苦労」だなんて感じたことがないんです。
そしてスタイリストでも何者でもない「ただのファッション好きの兄ちゃん」を「スタイリスト大山旬」にしてくれたのはひとりひとりのお客さまのお陰だと思っています。
初期の頃からのお客さまには感謝してもしきれないです。無名の僕を見つけてくださって、思い切ってサービスを依頼してくださったのですから。
できる限り恩を返したいと思っています。
自営業っていいですよ、本当に。そう言い切れる人であり続けたいと僕は思っています。
いや〜長くなりましたね(笑)最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
ファッションスタイリスト大山シュン
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