みなさん、こんにちは
スタイリストの大山シュンです。
たまたまニュースで見かけたのですが、スポーツ庁の働きかけもあり、スニーカーでの通勤を今後推進していこうという流れが強まっているようですね。
【参照】https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180305/k10011352231000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_001
このニュースをスタイリストとしてどのように捉えているのかについて今回はちょっと書いてみたいと思っています。
思い出されるのはクールビズ
このニュースを見て、僕が真っ先に思い出したのは「クールビズ」です。ジメジメとした日本の夏に、スーツってそもそも合わないですよね。もっと軽装で良くないですか。そっちの方が環境にも優しいですし、自然ですよね。というのが僕なりのクールビズの理解です。現都知事の小池さんがキーマンとなったキャンペーンでしたよね。
このクールビズが提唱されたのが2005年で、当時の流行語にも選ばれました。あれから10数年が経ち、クールビズはかなり浸透しました。その当時はアロハシャツ着ている人もいたり、ふだんのスーツにネクタイを取っただけの「酔っぱらい新橋スタイル」の人も多かったですが・・・ 今では真夏にバシッとスーツを着ている人の方が少ない状況です。
そりゃ当然です。だって真夏にスーツって、どう考えてもおかしいですもんね。暑いのに更に厚着をするというのは。だからこそクールビズはこれだけ浸透したのだと思います。そして改めて今回のスニーカー通勤という新しい提案を考えてみるわけですが・・・
「そもそもスーツにスニーカーは合わないよね」というありがちな展開
こういった時にまず僕たちファッション業界寄りの人間がつい言ってしまいがちなのは、「スーツスタイルにスニーカーは合わないよね」ということなんですよね。クールビズの時にも同じような議論がされました。「半袖シャツって、ビジネスシーンではなしだよね」という話とよく似ています。
本来の正統派なスーツスタイルの話を持ち出すということを、どうしてもやりたくなっちゃうんですね、ついつい。でもそんな堅苦しいことばっかり言う必要もないのかもしれません。そもそもファッションだとかスーツの着こなしというのは人それぞれで、ルールもあるようでないですから。人に迷惑を掛けないのであれば何でもアリだと思います。
そんな状況を踏まえつつ、あえて言います。それでもスーツにスニーカーは合いません。先程の写真で特に気になるのが、きれいめなスーツスタイルに白スニーカーという合わせ方です。これは流石に無理があります。もちろんノーネクタイのビジカジスタイルだったり、スーツもセットアップでニットタイくらいの少しカジュアルな感じでしたらギリギリ白スニーカーもありかなと思います。
でもこの写真だとチーフまで入れたかなりカチッとしたスタイルなので、ちょっと白スニーカーは合っていないよねと思います。なんで白にしたんだろうなと、僕はここだけ引っかかりました。別にスーツにスニーカーを合わせることに大して僕は反対ではありません。今後少しずつこの流れは広まっていくと思いますので、今否定しちゃうと、のちのち僕は後悔するはずですので(笑)
ただ白スニーカーは難しい。何の脈略もなく足元だけがいきなりカジュアルだと、そこだけが浮いて見えてしまうからです。
「周囲とのバランス」を整える行為
僕はビジネスに置けるファッションというのは、周囲とのバランスが大切だと思っています。周りと調和するのであれば、僕はスーツにスニーカーでも全然問題ないと思うんですよね。接する相手が不快に思わないかどうかが大切だなと。
ところが現段階で、このニュースというのはまだほとんど認知されていないわけです。スーツにスニーカーというスタイルが推進されているということは、本当にごくわずかな人しか知りません。そういった状況の中で、あなたが明日からいきなり白スニーカーで現れたら、結構社内でも浮きますよ。これは調和とは真逆にありますので、僕としてはあんまりお勧めはできません。
「大山さん、今日は靴を履き間違えてきたんですか?」と真顔でツッコまれそうです。10年後は大分環境が変わっているのかもしれませんが。今はまだ早すぎます。最先端過ぎて付いていけません。最先端なのかどうかすらも僕にはよく分からないほどです。
スタイリストとしての僕の提案
【参照】https://www.asics-trading.co.jp/brand/texcy_luxe/
「否定するだけ」というのはなんにも生み出さないですから、ここからは僕なりの提案です。
「見た目は革靴だけど、履き心地はスニーカー」このようなジャンルの靴から取り入れてみるのが良いかなと思います。たとえばこの分野のトップランナーはアシックスのテクシーリュクスだと思うんですよね。僕も元々こういう靴があるとは知らなかったのですが、たまたま一緒にお仕事をさせて頂く機会があって、履き心地の良さに驚愕しました。
既にご存知の方も多いと思いますが、見た目は正統派の革靴ですので、デザイン的にもよく出来ていると思います。これだったらふつうに1〜2駅くらいは歩けると思いますよ。そして履いていても、底面がスニーカーのような構造になっているとは誰も気づかないはずです。こういう方がスマートかなと思います。
【参照】https://www.colehaan.co.jp/products/detail.php?product_id=3659&category_id=21&classcategory_id1=19
もう少し投資をできる方には、これまた定番的なのがコールハーンという選択肢です。僕もスタイリストとして仕事をする際に、よくコールハーンの靴をご提案させて頂くのですが、みなさんとても喜びます。見た目は革靴ですし、デザイン的にも百貨店やセレクトショップで取り扱いがあるくらい洗練されていますので。
こういうものからビジネスウェアの中に取り入れてみるのも良いかと思います。
UNITED ARROWSの新しい提案も◎
http://store.united-arrows.co.jp/shop/ua/goods.html?gid=28047560
そして中でも最注目しているのがUNITED ARROWSのこちらのシリーズです、これも見た目は完全に革靴ですが、スニーカーと言っちゃっています。これはまさしく今回の「スーツでスニーカー」という今後の大きな流れをしっかりと汲んだ良い提案だなと感じました。
周囲にバレずに、素敵にスニーカーの履き心地を取り入れるにはもってこいですよね。僕が今、会社員だったらこれは買うだろうなと思います。UNITED ARROWSが作る靴なので、デザインにおいても安心感があります。ダブルモンクの靴なんかもカッコイイですね。こういう合わせ方の方が断然スマートだと思います。
正統派の革靴とラクなスニーカータイプを使い分けるのが◎
このように、スーツにスニーカーという新しい流れを取り入れることには大いに賛成ですが、いきなり白スニーカーはないよね。というのが僕の見解です。まずは見た目は革靴に見えながらも、機能的にはスニーカーに近いものから取り入れてみる。そして数年経って、ようやくスーツにスニーカーという文化が根付き、白スニーカーの人もちらほら見るようになったら取り入れてみる。これだと違和感なく移行できるのかなと思います。
職場で浮きすぎないことって、結構大切ですよね。私服とは違いますから、スーツスタイルで個性を際立たせる必要はありません。着こなしに馴染ませながら、ラクさを取り入れるのが良いかなと思います。
そういう僕も、革靴はほとんど履かなくなりました。普段あまりスーツを着ないので革靴を履くことが極端に少ないのです。それでもたまにのスーツの時には革靴をバシッと履きます。やっぱり正統派の革靴が持つ美しさもよく理解しているからです。
でも僕が毎日スーツを着なくちゃいけない仕事だったとしたら、今後はきっと「本格派の革靴」と「スニーカーライクな革靴」の2つを使い分けるかなと思います。
どちらにもメリットがありますので、場のフォーマルさによって使い分けるのが良いかなと思っています。
本格派の革靴というのも色々と履きました。クロケット&ジョーンズ、オールデン、ジョン・ロブなど。どれも高級靴と呼ばれるもので、履き心地に定評のあるものも多いです。確かに履きやすいのかもしれませんが、比較対象がスニーカーになると、やっぱり限度がありますよね。休日に履くかといったらまず履きませんので。
ですので、「スーツでスニーカー」という流れには僕は賛成です。でもそれ一辺倒にならずに、バシッといい靴を履く場面も作るといいですね。1足でもいいから、自信を持って履ける上質な靴があることも、カジュアル一辺倒の世の中だからこそかえって効果的だと思います。
ということで、みなさんにとって何か参考になれば嬉しい限りです。それでは今日も素敵な1日をお過ごしください!
スタイリスト大山シュン
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スタイリスト。メンズファッション研究家。株式会社SO styling代表取締役。2019年にスタートしたYoutubeチャンネルは登録者5万人を突破。日本最大級のファッション学習サイト「メンズファッションスクール」を主宰。おしゃれが苦手な大人の男性に「おしゃれの方程式」を分かりやすく伝えている。これまでにファッション関連の書籍を7冊発売。累計12万部突破。NHK「おはよう日本」フジテレビ「めざましテレビ」読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞他、様々なメディアにも出演。趣味は旅とランニング。プライベートでは男の子と女の子、二児の父。
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