10月から年末に掛けては、お客さんと一緒にお買い物に出かける機会が多く、今日もこれから銀座に向かいます！

上の写真は先日ご一緒させて頂いたお客さまの後ろ姿です。今回でショッピングにご一緒させていただくのは3回目。オーソドックスなネイビーのジャケットを中心とした着こなしは十分着慣れたので、少し冒険をしてみることにしました。

イタリアのジャケット専業ブランドである「タリアトーレ」のチェック柄のジャケットをご提案しました。このジャケット、かなり柄のインパクトが強く、着こなせる方は大分限られます。ネイビージャケットであれば、大抵の人が着こなせますが、このように柄の主張が強くなると、ご本人のキャラクターやこれまでのファッション遍歴に大きく左右されるので、そう簡単に似合わないものです。でも確かに似合っているんですね。

今回は5パターンのジャケットをご用意しまして、実際に試着してもらいました。僕のスタイリング提案は、「これがお薦めです！」と決め打ちをするのではなく、いくつかの選択肢を必ず設けるようにしています。僕が考える「お似合いになりそうなジャケット」を3〜4個選ぶ。そして試着をしてもらって、お互いの意見を交わしながら2つに絞ります。

そこからはお客さまに選択してもらうようにしています。僕は決めません。なんでかというと、僕の役割は世の中の多くのジャケットの中から、お似合いになりそうな3〜5枚を選ぶことだと考えているからです。これらの中から、どれを最終的に選び取るのか、最後の選択はお客さんの気分だとか、これからのテーマに強く影響されると考えているからです。

最終的には、ご自身で選んで頂くようにしています。そっちの方が、お客さんの中にも「自分で選んだ感」が多少でも残ります。押し付けられて買った服なんて、やっぱり着なくなってしまいますからね。自分で選んだ感は僕は残しておきたいと思います。

今回も最終的に2択で悩みましたが、お客さんは柄の主張の強いこちらのジャケットを選びました。なぜかというと・・・

無難or冒険？

最後の2択に残ったのが、こちらのグレーベースにブルーのチェックが乗ったジャケットです。こちらの方が着こなしの難易度は低く、気軽に使いやすいのは事実です。でもお客さんは着こなしが難しくても、柄の雰囲気が抜群に良かった先程のジャケットを選びました。

なぜかというと、「自分じゃ絶対に手に取らないから」 「着ていて緊張感とワクワク感があるから」　このようにおっしゃっていました。どちらを選んでも僕はいいと思うんですよね。そこに正解はありません。どちらを選んでも正解です。

でも、2択で悩んだときに、「今までとは違う方」を選び取れる人は強いです。未体験のものを面白がる勇気を持つ人は、どんどんおしゃれに変わっていきます。僕なんかはビビってしまって、無難な方を選ぶことの方が多いと思います。失敗したくないので。

「失敗したくない」がために選んだものは、結局いつもと大して変わらない選択であり、そこから大きなワクワク感を得られることはまずありません。ファッションの醍醐味って、「こんな服も結構似合うんだなぁ」という新しい発見に出会った瞬間だと思うんです。

だから、2択で迷ったら冒険してみるという感覚はものすごーーく大切だと思います。このジャケットだって、安くありませんよ。それでも飛び込む選択は見ていて清々しいです。お仕事で活躍している人は、このあたりの思いっきりがとてもいいように感じます。

僕も反省。失敗覚悟のお買い物ほどおもしろいものはありません。この感覚がないと、いつも同じようなファッションで、いつの間にか古臭くなります。一定の冒険はし続けることは大切だな〜と改めて感じたスタイリングでした。

でも無難な服。僕は大好きですよ。僕が持っているほとんどは無難な服です。無難な服をある程度揃えているからこそ、たまには思い切って冒険ができるのだと思います。僕の感覚だと8：2か7：3くらいかなと。無難な服と冒険服を掛け合わせるのが良いバランスだと思っています。

みなさんも、冒険服、たまにはおもしろがりながら取り入れてみてくださいね！ それでは今日もスタイリングに向かいます。

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